昨今、SNS経由での副業詐欺被害が急増しています。

ライトストーン法務事務所では過去3年間で2,000件以上もの副業詐欺被害の解決実績があり、特に最近は副業詐欺の被害に遭われた方からのクーリングオフに関する問い合わせが増加傾向にあります。

「副業詐欺はクーリングオフできない」と思っている方が多いですが、実はそれは大きな誤解です。

多くの副業詐欺はクーリングオフ対象の取引に該当し、適切な方法で内容証明郵便を送付することで解決できるケースがほとんどです。

本記事では、副業詐欺被害に対するクーリングオフの正しい知識と、内容証明郵便を使った具体的な解決方法をご紹介します。

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SNSを悪用した副業詐欺の実態と手口

現代の副業詐欺は、InstagramやLINE、Twitterなどのソーシャルメディアから勧誘が始まるケースが主流となっています。

以下ライトストーン法務事務所で実際にご相談された事例を紹介します。

インスタグラムから勧誘された事例

事件概要:大学生Mさんは、インスタグラムで突然フォローされたことがきっかけで被害に遭いました。フォローしてきた相手からLINEへの追加を誘導され、コミュニケーションが始まりました。その後、契約の段階では画面共有を利用して操作を指示され、大学生である自分の情報を「会社員、年収230万円」と虚偽申告させられました。カードを新規に契約させられ、77万円の高額な契約を結ばされました。カード作成の際には「ここを押して」などと画面操作を誘導され、気づいた時には契約が完了していました。Mさんは契約翌日に不審に思い、クーリングオフの相談に至りました。

解決内容:クーリングオフの内容証明郵便の送付とカード会社への支払停止の抗弁書提出により、クレジットカード決済が取り消され、解決しました。

石田先生

SNSからの勧誘で画面共有を通じて虚偽申告を強いられたMさんの事例は、現代の副業詐欺の典型です。クーリングオフと支払停止の抗弁により解決できましたが、画面共有での操作指示には常に警戒すべきでしょう

YouTubeから誘導された事例

事件概要:Sさんは、某競馬関係のYouTubeチャンネルを視聴していたところ、そのチャンネルの「裏アカウント」を名乗るアカウントからLINE経由で連絡を受けました。その後電話でのやり取りとなり、「必ず儲かる」「1年で全額返金保証付き」などと説明を受け、498,000円を支払うことになりました。デビットカードで198,000円を支払い、残り300,000円もクレジットカードで支払う予定でした。しかし実際には予想情報も送られなくなり、約束された利益も得られなかったため、返金を求めることになりました。

解決内容:クーリングオフで内容証明郵便の送付により、支払った約50万円の現金返金で和解が成立しました

石田先生
石田先生

YouTubeの「裏アカウント」を装った悪質な投資勧誘に注意が必要です。「必ず儲かる」「全額返金保証」などの甘い言葉には警戒し、高額な契約を急かされた場合は一度冷静になりましょう

SNSからZoom面談への誘導された事例(クーリングオフ解約済)

事件概要:Nさんは、SNS経由で知り合った相手からZoom面談に誘われ、その場で情報商材の購入を勧められました。短時間の面談で648,700円という高額な商品を契約させられ、契約時には「昼までにメールで送る」と約束されていたにもかかわらず、約束の時間になっても商材が送られてこなかったため、詐欺を疑い相談に至りました。

解決内容:内容証明郵便の送付とカード会社への対応で、約65万円の現金返金で和解しました。

石田先生
石田先生

SNSからZoom面談への誘導は最新の詐欺手口の一つです。短時間で高額契約を迫り、商材を送らないケースが増加していますが、Nさんのように早期に気づくことで被害を最小限に抑えられます

副業詐欺はクーリングオフできる!勘違いされている真実

クーリングオフとは、不意打ちの勧誘や強引な営業によって消費者が冷静に判断できなかった場合の救済策として、特定商取引に関する法律(以下「特定商取引法」)に基づく制度です。

これにより、一定期間内であれば契約を無条件で解除できます。適用期間は契約形態によって異なり、違約金や解約手数料は発生しません。

特定商取引法では、特定の契約において、契約をした後でも一定の期間内であれば無条件で契約を解除できるクーリングオフの制度を設けています。

これは、訪問販売や電話勧誘など、冷静な判断をしにくい状況で結ばれた契約から消費者を守るための制度です。

クーリングオフできる6つの取引と法的根拠

特定商取引法により、以下の6つの取引形態にクーリングオフが適用されます。

以下、詳しく見ていきましょう。

クーリングオフ対象内容
訪問販売(特定商取引法第9条)家庭や職場への訪問販売、キャッチセールス、アポイントメントセールスなど、事業者が不意打ちで消費者に直接、商品やサービスを勧誘・販売する取引のことです。
例:新聞の定期購読やリフォーム工事の契約勧誘など
電話勧誘販売(特定商取引法第24条)事業者が消費者に対して、販売の目的を告げずに突然電話をかけ、商品やサービスを契約させる販売形態のことです。電話を一旦切った後に郵便や電話等で申込みを行った場合も該当します。
例:電話での保険商品やインターネット回線の契約勧誘など
連鎖販売取引(特定商取引法第40条)個人を販売員として勧誘し、その個人にさらなる販売員を勧誘させることで組織を拡大していく取引形態のことを指します。いわゆるマルチ商法と呼ばれるものです。
例:サプリメントや健康食品の販売ネットワークなど
特定継続的役務提供(特定商取引法第48条)一定期間にわたって継続的に提供されるサービスに対して、高額な対価の支払いが伴う契約形態です。
例:エステティック、美容医療、語学教室、家庭教師、学習塾、結婚相手紹介サービス、パソコン教室(現在はこの7つが対象です)
業務提供誘引販売取引(特定商取引法第58条)「副業」「自宅でできる仕事」など、仕事を提供するので収入が得られるといった内容で消費者を勧誘し、仕事に必要だとして商品やサービスを購入させる契約形態のことです。
例:使用する商品代金の負担を伴うモニターアルバイト、情報商材を購入させる副業など
訪問購入(特定商取引法第58条の14)事業者が消費者の自宅などを訪問し、その場で物品を買い取る取引のことです。
例:不要品の買い取り(貴金属、ブランド品など)

副業詐欺におけるクーリングオフの法的根拠と適用ケース

副業詐欺被害にあった方々にとって、特定商取引法に基づいて、以下の場合、副業詐欺にクーリングオフが適用可能となります。

まず第一に、多くの副業詐欺は「業務提供誘引販売取引」として特定商取引法第58条の適用対象となる場合があります。

これは「仕事(副業)を提供するので収入が得られる」という勧誘文句で契約を結ばせるケースに該当します。

たとえば「マニュアル通りに作業すれば確実に月収30万円」「簡単な作業で在宅ワークが可能」などと謳われるものが典型例です。

このような契約では、法定書面を受け取った日から20日以内であればクーリングオフが可能となっています。

SNSを通じて勧誘される副業詐欺の多くがこの形態に該当するため、被害者救済の有効な手段となります。

第二に、初めの接触がSNSであっても、その後電話やビデオ通話(ZoomやLINE通話など)に移行して契約した場合は「電話勧誘販売」として特定商取引法第24条が適用される可能性が高いです。

この場合は契約書面を受領してから8日以内にクーリングオフを行使できます。オンラインでのやり取りが一般的になった現在、この形態の勧誘も増加傾向にあり、法的保護の対象となっています。

第三のポイントは、法定書面の不交付や記載不備によるクーリングオフ期間の延長です。

特定商取引法では、事業者は取引内容や解約条件などを明記した法定書面を交付する義務がありますが、副業詐欺事業者の多くはこの義務を果たしていないか、記載内容に重大な不備があることが一般的です。

このような場合、クーリングオフ期間は法律上無期限に延長され、契約から数ヶ月、あるいは数年経過していたとしても、いつでもクーリングオフを行使できるという非常に重要な保護規定があります。

最後に、クーリングオフ妨害による期間延長も挙げられます。

事業者が「この契約はクーリングオフの対象外」「すでに役務提供が始まっているのでクーリングオフはできない」などと虚偽の説明をしたり、「解約すると違約金が発生する」などと脅したりしてクーリングオフを妨害した場合も、クーリングオフ期間は同様に延長されます。

この規定により、悪質な事業者の妨害行為があったとしても、消費者の権利は守られるようになっています。

これらの法的根拠を理解することで、一見諦めざるを得ないと思われる副業詐欺被害でも、適切な法的手続きを踏むことで被害回復が可能になるケースが多いのです。

クーリングオフの期間と法的手続きについて

特定商取引法において、クーリングオフは消費者を保護するための重要な制度です。

この制度を利用するためには、まず事業者から交付される法定書面の受領が鍵となります。

特定商取引法では、契約内容や解約条件などの一定の事項を明記した法定書面の交付を事業者に義務付けており、消費者はこの書面を受け取った日を起点としてクーリングオフを行使できます。

こちら実際の契約書に記載されているクーリングオフの記載を一部改変して掲載させていただきました。

クーリングオフの文面

なお、各取引形態によってクーリングオフの適用期間は異なります。

訪問販売、電話勧誘販売、訪問購入の場合は8日間の期間が設けられており、この期間内に手続きを行う必要があります。

一方、特定継続的役務提供、連鎖販売取引(いわゆるマルチ商法)、業務提供誘引販売取引(副業や内職の勧誘など)については、より長い20日間の期間が認められています。

クーリングオフの申し出は、書面または電磁的記録(Eメールなど)で行う必要があります。

書面の場合は、内容証明郵便を利用すると後日のトラブル防止に効果的です。

なお、2022年6月からは電磁的記録による通知も可能となり、より手続きが簡便になりました。(消費者庁:契約書面等に記載すべき事項の電磁的方法による提供に係るガイドライン

重要なのは、この期間内に正しい手続きで申し出ることで、理由を問わず無条件で契約を解除できる点です。

また、支払済みの代金は全額返金され、商品の引き取り費用なども事業者負担となります。消費者トラブルに遭遇した際は、この制度を適切に活用することで被害を最小限に抑えることができるでしょう。

内容証明郵便がクーリングオフの通知手段として優れている理由

なお、クーリングオフの通知方法として、法的に認められている電子的記録(Eメールなど)より内容証明郵便を利用するのをお勧めします。

理由としてまして、まず、内容証明郵便は公的な第三者機関である日本郵便が「いつ」「誰が」「誰に対して」「どのような内容の文書を」送ったかを証明してくれるため、後日のトラブル時に強力な証拠となります。郵便局が文書の内容と発送日を証明するため、事業者が「通知を受け取っていない」「期間内に届いていない」などと主張しても反論が可能です。

また、内容証明郵便は受け取り拒否されても法的に「到達した」とみなされる点も大きな利点です。悪質な事業者が意図的に連絡を避けようとした場合でも、法的効力が確保されます。

さらに、裁判になった場合、内容証明郵便は公的な証拠として高い信頼性を持ちます。電子メールでは送信記録があっても、相手が「受信していない」「迷惑メールフォルダに入っていた」などと主張される可能性があり、証明力が弱くなりがちです。

最後に、内容証明郵便は事業者に対して消費者の真剣な姿勢を示す効果があります。公的な手段で正式に通知することで、事業者側も法的な責任を認識し、適切な対応をとる可能性が高まります。

このような理由から、特に高額な契約や悪質な業者との取引の場合は、内容証明郵便を利用することでトラブルを未然に防ぎ、確実にクーリングオフを成立させることができるのです。

内容証明郵便でクーリングオフを実行する具体的な方法

内容証明郵便でクーリングオフを実行する具体的な方法

クーリングオフを行う際は、内容証明郵便を送ることが効果的です。

内容証明郵便は送った内容と日付が公的に証明されるため、後々のトラブル防止に役立ちます。

内容証明郵便の書き方ポイント:

  1. 宛先の正確な記載
    契約書や領収書に記載されている正式な事業者名・住所を記載
  2. 契約内容の明記
    契約日、契約内容、支払金額、支払方法など
  3. クーリングオフの意思表示
    「特定商取引に関する法律第40条(業務提供誘引販売取引の場合)に基づき契約を解除します」など
  4. 返金請求の明確な記載
    支払済み金額の全額返金を求める旨と返金方法・期限
  5. 署名・捺印
    自筆の署名と捺印をする

クレジットカード会社への対応

クレジットカード払いの場合は、内容証明郵便を送ると同時に、カード会社に「支払停止の抗弁書」を提出することが重要です。

これにより、未払い分の支払いを一時的に止めることができます。

クーリングオフの内容証明郵便を司法書士に依頼するメリット

クーリングオフの内容証明郵便自体はご自分でも対応が可能です。

しかし、より確実にクーリングオフをするなら司法書士など専門家を通すことをお勧めします。

理由としましては、法的専門知識と実務経験を活かした確実な問題解決が期待できる点にあります。

司法書士は特定商取引法や消費者契約法に精通しているため、適切な法的根拠を示した文書作成が可能であり、事業者の不当な反論にも対応できる文言を予め盛り込むことができます。

また、クレジットカード会社への支払停止の抗弁書提出など関連手続きもワンストップで対応でき、自分で行う場合に比べて心理的負担の軽減や時間的コストの削減にもつながります。

さらに、多数の解決事例を扱っている司法書士は効果的な交渉術を心得ており、特に悪質な事業者相手の場合は、このノウハウの差が返金成功率に大きく影響します。

法的文書の形式や記載内容には一定のルールがあり、素人が作成すると曖昧な表現や感情的な文言が入って法的効力が弱まる恐れもあるため、重要な法的手続きは専門家に任せることで、より確実に権利を守ることが可能となっております。

実際の内容証明の文書を一部お見せします。

クーリングオフの内容証明

なお、ライトストーン法務事務所では2000件を超える詐欺被害解決の実績があり、クーリングオフ手続きから返金交渉までをワンストップでサポートしています。

内容証明郵便の作成、クレジットカード会社への対応など専門的な手続きを一貫して行い、被害回復をサポートいたします。

初回相談は無料ですので、被害に遭われた方はお早めにご連絡ください。迅速な対応で問題解決に向けたお手伝いをいたします。

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クーリングオフの準備:証拠保全と事前確認のポイント

クーリングオフの準備:証拠保全と事前確認のポイント

クーリングオフを円滑に進めるためには、事前準備が重要です。

まず、証拠の確保から始めましょう。

営業担当者とのSNSでのやり取りはすべてスクリーンショットを保存し、メールのやり取りはPDF形式で保存しておくことが望ましいです。

また、契約書や重要書類は原本とコピーの両方を用意し、セールストークなどの会話内容は可能であれば録音しておくと後々の証明に役立ちます。

次に、事業者情報を正確に把握しておく必要があります。

契約書に記載された会社名、所在地、代表者名が正確か再確認し、特に「株式会社」や「合同会社」などの表記ミスがないか注意深くチェックしてください。

法人番号も調べておくと確実です。

また、交付された法定書面が要件を満たしているかの確認も重要です。

書面に記載すべき事項(クーリングオフの期間や方法など)が明記されているか、日付や署名欄に不備がないかを確認しましょう。

要件を満たしていない場合、クーリングオフ期間が延長される可能性があります。

最後に、支払い証明の整理を忘れないでください。

銀行振込の場合は振込票のコピー、クレジットカード決済の場合は利用明細書、現金支払いの場合は領収書を必ず保管しておきましょう。

返金手続きの際に必要となるため、支払い方法や金額が明確にわかるようにしておくことが大切です。

まとめ:副業詐欺被害からの回復の第一歩

副業詐欺の被害に遭った場合、「クーリングオフできない」と諦めず、適切な方法で内容証明郵便を送ることが解決の第一歩です。

多くの副業詐欺はクーリングオフ対象の取引に該当し、法定書面の不備などによりクーリングオフ期間が延長されているケースも少なくありません。

証拠をしっかり保全し、専門家に相談した上で適切な対応を取ることで、被害金の返還を受けられる可能性は高まります。

ライトストーン法務事務所では、SNSでの副業詐欺被害に関する相談を多数受け付けており、内容証明郵便の作成から交渉まで一貫してサポートしています。

副業詐欺でお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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